​症例

突然、腰に激しい痛みが出た治療に来た30代の患者さんです。体を見てみるとヘルニアのようだったので、病院で検査をしてもらったところやはり椎間板ヘルニアの診断でした。

椎間板ヘルニアは患部を治療すると症状が悪化することがあるので、腰以外のツボを使って治療を行いました。また回復力を高めるため全身治療も行いました。

体を使う仕事のうえ、なかなか休みがないということで（いわゆるブラック企業）、しばらくは固めのコルセットで腰をしっかり固定して仕事をされていました。

週1回の治療で1か月後には痛みもかなり減り、コルセットも柔らかいものになっていました。コルセットを付ければ以前のように動けるまで回復しました。

しかし仕事をしながらの治療だったので、痛みがなくなるまでに半年ほどかかりました。

椎間板とは背骨の間にあるクッションのようなもので、これがつぶれるとヘルニアになります。急に重いものを持ったり腰をそらし続けるような動作でなってしまいます。

軽度のヘルニアであれば手術の必要もなく治りますが、この患者さんのように仕事で負担をかけながらの治療だと時間がかかってしまいます。最初の2週間仕事を休んで治療に専念すればもっと違った結果になったと思います。

椎間板ヘルニアで休職中の30代の患者さんです。

研究の仕事をされていたのですが、座ることも難しいぐらいのヘルニアで2か月ほど休職されていました。なるべく手術をしたくないということで整体などの治療をしていたそうですがあまり変化が見られず、友人の紹介で当院に来られました。

最初は寝ていても座っていても5分もすると腰から足にかけてしびれが出てきてだんだん痛くなってくるような状態でした。

この患者さんのような強い症状が出ているときは患部は触らず、手足のツボを中心に治療を行います。

週2回のペースで治療を行っていたのですが1か月目から目を見張るぐらい回復していき、2か月後には無事職場復帰されました。

休職期間があと2か月程度しか残っておらずなかなか回復しないことに焦っていたようで、ご本人は整体と鍼灸両方受けようとされていました。整体での治療を伺ったところ、この患者さんには整体が合っていないようだったので鍼灸治療一本にしてもらい何とか期限までに仕事に復帰することができました。

西洋医学と東洋医学、鍼灸や整体、その他の特殊な施術など治療はいろいろありますが、相性というのが必ずあります。1回治療を受けただけでは自分に合うか合わないかわからないので、当院では最低3回受けてから判断するようにしてもらっています。また、相性が良いと簡単に治ってしまうこともあるので、なかなかよくならない時には気分転換もかねて治療を変えてみるのも一つの手です。

最初は軽いぎっくり腰だったのに、無理をして長引いてしまった患者さんです。

園芸店の店長さんで、仕事で軽いものをもちあげた際に腰がギクっとなったそうです。ただ痛みを我慢すれば動けたのと繁忙期ということもあってそれから半日忙しく働いたそうです。しかし帰りの電車で痛みが激しくなり、何とか帰宅できたが翌朝には動けないほどの痛みになっていたそうです。

連絡を受けて往診で治療を行いました。発症から３日目でようやく動けるようになり、１週間で何とか仕事復帰、１か月間は体を使った仕事はできなかったそうです。

ぎっくり腰は２日目に痛みのピークが来ることが多く、当日は動けてしまうことがあります。この時に腰に負担をかけてしまうとこの患者さんのように長く苦しむことになります。腰が痛くなった時に無理に動かず治療に専念し、次の日も安静にしていればすぐ治っていたはずです。

最初の1週間はほぼ毎日治療をしていたおかげで再発はせず後にも残りませんでしたが、放置していたせいでぎっくり腰を繰り返したり慢性的な腰痛になってしまっている方もたくさんいらっしゃいます。

腰は体の要です。無理させずいたわってあげてください。

いつも胃の調子が悪い患者さんです。

20代の男性で経理の仕事で座りっぱなしでストレスもすごかったそうです。食欲はなく時々胃の痛みもあったそうです。

やせていて体が辛そうだったので、最初は体力を回復させる治療をメインに行い徐々に胃の治療を行っていきました。

東洋医学が合ったのか、初回の治療でかなり元気になり1か月後には胃は全く気にならなくなったそうです。

この患者さんの症状は仕事環境と運動不足からくるものだったので、運動をすることを勧めました。

3か月後に久しぶりに来院された時には、ずっとジムで筋トレを続けていたそうで肌の色つやもよく胃の調子もよく一度も痛くならなかったそうです。

東洋医学の考えでは座りすぎは胃腸を弱らせ、またストレスによって胃腸を痛めます。胃のツボはたくさんあるので鍼灸治療でよくなりますが、運動で体を動かしストレスを発散するとより根本的に治っていきます。

500円玉ぐらいの脱毛が2か所後頭部にできていた50代女性です。

肩こりの治療で来院されました。円形脱毛症は昔からあり、いろいろ治療をしてきたが治らなかったのであきらめていたそうです。

この患者さんは塾の講師をしており、肩こりに加えて目の疲れや頭痛さらに体の冷えもありました。また保護者への対応のストレスがすごかったそうです。

肩こりの治療と同時に体を温め循環を良くする全身治療を最初は週2回、その後は週1回のペースで行いました。最初はなかなか取れなかった肩こりや目の疲れなどの症状がだんだん少しの治療で取れるようになっていきました。

1か月ぐらいたった時に脱毛の部分にうっすらと産毛が生えてきていることに気が付きました。それがだんだん黒くしっかりとした髪に代わっていき、2か月たつ頃には脱毛の跡がほとんど分からなくなりました。

患者さんも治らないと思っていたものが治ってしまったので喜ばれました。

この患者さんの円形脱毛症は、肩から首にかけてのコリがひどく、さらに体の冷えがあったため気血の循環が悪いことが根本の原因でした。また精神的なストレスは気血を滞らせます。東洋医学的な全身治療を行い気血の循環がよくなったため、患部に何もしなくても治ってしまいました。こんな時は東洋医学の良さが再確認できてうれしくなります。