​症例

歩行中うしろから自転車に追突されて背骨（上部胸椎）を傷め、その後遺症に１０年以上苦しめられていた30代男性の症例です。

症状としては疲れやすい、肩こりがひどい、体が常に緊張状態にあり力が抜けないなどがあったそうです。書くと簡単ですが本人は相当辛かったそうです。

体が過敏になっていて鍼を刺すと全身が緊張して冷や汗をかいてしまうような状態でした。そこで刺さない鍼（ツボに当てたり、かざして刺激を与える）や温かい灸を使って強い刺激を与えないよう、全身治療を行いました。

時間は1回に5分～10分程度で、体はすごく軽く楽になるが元に戻ってしまうということを繰り返しました。

2年間、週1回治療を行った結果、見違えるように元気になり日常生活は元気に送れているようです。多少肩が凝りやすいが疲れにくくなったためしっかり働けるようになり、今では出世をして店長を任されるまでになり日々充実しているそうです。

この患者さんはまじめな方で治したいという思いも強く、治療を受けていて最初はあまり変化がなかったり、飽きが来ることもあったと思いますが、頑張って週1回を2年間続けられたことが良い結果につながりました。諦めたり面倒になって治療をやめてしまう方も多いのですが、継続は力なりで続けることの重要性を学ばせていただいた患者さんでした。

髪の毛がほとんど全部抜けてしまった30代の患者さんの症例です。

脱毛の治療を続けていたら、生理痛がなくなり妊娠までしてしまった症例です。

最初は円形脱毛症のように髪が抜け始めたそうで、それが広がっていき治療に訪れた際には髪の毛がまだらに残っているような状態でした。

肩こりや頭痛、生理痛もあり体も冷えていました。仕事や家庭のストレスもあり生命力が落ちていて元気もありませんでした。

最初に脱毛の治療は時間がかかること、まずは体に元気にすることを説明し治療を始めました。

鍼が苦手な患者さんだったのでお灸を多めに使い、全身治療で生命力を高めるような治療を続けました。

治療開始後、最初の数か月で髪は全部抜けてしまいその状態がしばらく続いた後、赤ちゃんのような柔らかい髪の毛が生えてきました。その髪の毛が抜けることなく順調に伸びて遠目にも黒々していることがわかるぐらいまでになりました。

体を整え元気にする全身治療だけでしたが、髪が生えただけではなく生理痛もなくなり、不妊に悩まれていましたが妊娠もすることができました。

治療期間は2年程で月に2～3回、忙しいと1回、来れるときは4回と本人のペースで続けられました。来れないときは自宅でお灸をしてもらうなどもしました。

長く通い続けるのは大変ですが、本人の頑張りでよい結果が出ることができました。またセルフケアでお灸をされていたのもよかったと思います。

足の裏のかかとの前側が痛くなり、病院で足底腱膜炎と診断された40代の患者さんです。

病院では足底腱膜炎はなかなか治らないから、痛みとうまく付き合っていくように言われたそうです。

この患者さんはもともと月1回体のメンテナンスで鍼灸治療に来ていて、今回の足底腱膜炎もメンテナンスついでに治療してほしいということでした。

最初だけ1週間に2回治療をしてその後は月1回のペースで治療をおこない、半年後には痛みが完全になくなりました。もともと体が動かすのが好きな方で、足底腱膜炎になって以来運動ができなくなっていたので、以前のように動けるようになって大変喜ばれました。

月1回という治療はやはり間が空きすぎていて、治るのに時間がかかったり効果があまり出ないこともあります。この患者さんのペースだともっと時間がかかると思っていたので予想より早く治りましたが、週2回ペースで続ければ半年もかからずよくなったんじゃないかと思います。

アキレス腱やふくらはぎが硬いと足底腱膜に負担がかかるため、セルフケアでその部分のストレッチをやってもらいました。月1回程度の治療でも治ったのはそのおかげもあった思います。

体質が強くなり風邪をひかなくなった50代の患者さんです。

最初は五十肩の治療で来院されました。治療すると体の調子も良くなったようで、五十肩が治った後も2週間に1回のペースで体のメンテナンス目的で来院されるようになりました。

この患者さんは風邪をひきやすい体質で、季節の変わり目には必ず体調を崩し年に2～3回は風邪をひいていたそうです。

治療を続けて1年後には体質が強化され、風邪をひかなくなり季節の変わり目にも調子よく過ごせたそうです。

通院されていたのがちょうど新型コロナが流行っていた時期だったのですが、ワクチンを打つと体調が悪くなるという理由でワクチンは打たれないということでした。しかし、体質が強くなっていたおかげでコロナになることもなく、ご家族の皆さんがコロナにかかっているときもご本人にうつることもなく過ごしていたそうです。

体質というものは生まれ持った体の性質なので東洋医学でも変えることはできません（妊娠出産や大病、大怪我などで変わる方は稀にいます）。しかしこの患者さんのように体質の弱い部分を強化して病気に強くなることはできます。全体を見て治療する東洋医学だからできることです。